2022年度の軽貨物運送業界の展望
2022年も忙しくなりそうですか?
年明け早々、物量は多いですね。今年の軽貨物運送業界の展望をまとめてみました。
2021年の貨物量の動向
年明け早々、関東では大雪に見舞われ大変な幕開けとなりましたが、昨年からのコロナ禍による巣篭もり需要は堅調で、物量は相変わらず多いと感じておられる軽貨物ドライバーさんは少なくないと思います。
昨年末に公表された日通総研の2021年度の貨物輸送量では、上期は5%増で下期を合わせても全体の1.7%増となっています。2022年度予想も1.4%増が見込まれています。
宅配便の貨物量だけで見ると3.2%増と堅調で、2022年度も大幅増が予想されています。
2022年の軽貨物量の展望
上の図でもわかるように個人消費のグラフは2020年上期から急激に伸びています。
コロナ禍の巣篭もり需要でEC貨物量が増加したことを表しています。これは消費者がECやフリマサイトなどを利用することが常態化し、個人消費が貨物量を下支えしていることも表しています。
このことからも、軽貨物運送業界の2022年の展望としては堅調に伸びていくことが予想されます。
必ず直面する「2024年問題」
2024年問題とは、2019年に施行された働き方改革関連法に基づき、罰則付き時間外労働時間の上限規制が設けられました。
2024年までは猶予期間でしたが、2024年4月からは年960時間が時間外労働の上限となります。この法律によりドライバーの需給は逼迫することが予想されているのです。
しかし、2020年からのコロナ禍でEC貨物が急増し、その対応に追われているのが現状で、2024年問題の対応が置き去りになっている現場が殆どです。そこに加えて2024年問題が加わると「運べない」物流危機に陥ります。
一度、物流業界は物流危機に直面しています。それは、2017年にEC貨物が急増し配送網が逼迫したことがありました。その時は、運賃値上げでドライバーの働く環境を是正して、なんとか乗り切る過去がありました。
2017年のドライバーの不足率は90%で、その時でさえ物流危機に陥っていましたが、2025年には80%まで下がる予想がされています。
2017年にまさる「運べない」物流危機が迫っているともいえる事態なのです。
軽貨物ドライバーの需要の高まりと改善点
前述のことから、ますます軽貨物ドライバーの需要は高まることが予測されています。
通販大手はこれらのことを踏まえて、独自の配送システムを構築していますし、荷主と配送のマッチングアプリなども多数登場して、軽貨物市場は活性化しているようにも見えますが、これから迎える2024年問題は、単に運賃値上げだけではドライバー不足や物流危機を乗り越えることができるとは思えません。
もっと根本的なところから改善する必要があるように思われます。輸送効率を改善し、サプライチェーン全体の効率化をはかり、ドライバー負荷を軽減する必要があります。
最も重要なことはドライバーの働く環境を整え、処遇を改善することが重要だと思います。
働き方改革で残業が減ることで所得まで減って辞めざるを得ないといった状況が増えていますし、そもそも普通に働いて普通に生活できるぐらいの給与が得られるのでなければドライバーになりたいと若者が考えるわけがありません。
軽貨物ドライバーで言うならば、これだけ個人消費でEC貨物が増えているわけですから、軽貨物運送は社会インフラを下支えしているエッセンシャルワーカーなのですから、社会的地位もさることながら、もっと軽貨物ドライバーの処遇向上が求められます。
弊社は所属ドライバーさんの処遇改善を常日頃から取り組んでいますが、社会全体でそのような世論が形成されることが望ましいです。
社会インフラとして宅配ロッカーを増設すること、再配達や時間指定などの有料化など、検討すべき課題は山ほどあります。また、送料無料を謳う通販サイトが多いですが、そこにはドライバーが対価を支払っていることを考えていただきたいのです。
そのようなドライバーの働く環境が改善されることでドライバーになりたい人が増え、その結果2024年問題が解決されることを願ってやみません。
2022年は始まったばかりですが、軽貨物ドライバーが活躍できる状況は今後も広がっていくと思います。
本年も事故なく安全に毎日のお仕事に邁進していきましょう。
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