物流業界に迫る2024年問題|軽貨物ドライバーへの影響は?

質問者

最近よく耳にするようになりましたが、どんな問題があるんですか?

管理者

物流業界に大きな変化があることは間違いないのですが、どんな問題があるのか、また、軽貨物ドライバーへの影響についても解説してみたいと思います。

2024年問題とは?

時間外労働の上限を規制した働き方改革関連法によって2024年4月1日以降に発生するであろう様々な問題の総称を「2024年問題」と言います。

自動車運転業務は長時間労働が常態化していたことから他の業界には適用されていた法施行が5年間猶予されていました。その間に物流業界で働くドライバー達の労働環境を改善することが目的でした。

法施行までに様々な取り組みが成されてきたましたが、それ以上に、この業界の抱える課題は大きく、一筋縄では行かないのが現状です。

物流業界に影響する働き方改革関連法の幾つかのポイント

・時間外労働の上限規制

 前述の通り、長時間労働が常態化していた自動車運転業務は、法施行の2024年4月1日以降は時間外労働の上限が月45時間、年間360時間となります。(労使間の協定合意がある場合でも、月100時間、年間720時間が上限)

・時間外労働の賃金引き上げ

 これまでも労働基準法によって時間外労働の賃金は25%以上割増することとなっていましたが、法施行の2024年4月1日以降は50%へと割増されることとなります。

・インターバル制度

 インターバル制度とは前日の終業時刻から翌日の始業時刻の間に一定時間の休息時間を確保することを言いますが、これまで労働基準法で定められていた8時間以上から、法施行の2024年4月1日以降は、9時間以上が義務化され11時間以上が努力義務と定められます。

物流業界が抱える問題

一見すると労働者の環境が改善されるので物流業界がホワイト化する良いきっかけにも思えるのですが、この業界の抱える問題はそう一筋縄で解決できるようなものでもないのです。

例えば、物流業界が抱える問題の一つは、人材不足と高齢化です。長時間労働に加えて重労働でもあるので、離職率が高いです。その割には低賃金でもあるので慢性的に若手の人材不足です。この問題が解決されなければ近い将来、荷物を運べない問題が生じてくる可能性があるのです。

前述の通り、長時間労働が常態化しています。荷待ち時間や荷役時間が長く、渋滞などの交通状況も影響して長時間労働にならざるを得ない状況です。また、翌日配送や送料無料とする企業も増え、軽貨物運送に関しては、日時指定や多発する再配達のサービスも影響しています。

それに加えて、物量が増え続けている社会情勢があります。通販の需要が拡大し続け、それに比例してドライバーの労働負担も大きくなっています。

物流業界に与える影響

・企業の売上が減少する

 時間外労働の上限規制やインターバル制度により、ドライバーの労働時間が減少し、1日に運べる荷物の総数が減少することから、企業の売上と利益が減少してしまいます。運賃を上げざるを得ず、顧客の確保に苦労することにもなります。

・労働者の収入が減少する

 時間外労働の上限規制に伴い、これまで得ていた残業代が見込めず、労働者の収入が減少します。そうすると離職に拍車がかかりこれまで以上の人材不足に陥ります。

・物流コストが増加する

 物流業界は利益確保のため運賃を上げざるを得なくなります。そうすると荷主側の負担が増え、今まで以上に物流コストが上がってしまいます。

社会全体の課題であるかもしれない

物流は経済の要でもあるし、社会経済活動を下支えする重要な業界でもあります。2024年問題で心配されている「運べなくなる問題」は、もはや物流業界だけの問題ではありません。

物流が滞ってしまうと、様々な業界だけでなく、個人の生活や暮らしにも多大な影響が出てしまうのです。

荷主側はこのような情勢に見合う適正な運賃に対応していただきたいですし、それに伴って消費者も適正な送料について考えていただきたいのです。

軽貨物運送の立場から提案したいことは、社会の必要なインフラとして、宅配ボックスや宅配ロッカーを設置する必要性を考えていただきたいですし、配送料無料や時間指定や再配達などのサービスは全て労働者が負担しているということも考えていただきたいと思います。
それは労働者のためだけでなく、社会全体のためでもあるからです。

軽貨物ドライバーへの影響は?

社員として働いているドライバーには当然ながら法施行の影響はありますし、業務委託されているドライバーにはその企業の方針によって影響があります。
また、通販サイトを主にしたフリーのドライバーにも2023年3月に国土交通省の実態調査が行われて、この軽貨物業界にも働き方改革関連法による変化は徐々に顕れていくでしょう。

物流業界の人材不足は深刻で、大まかに言うと軽貨物ドライバーの需要は高まると思われます。しかし、参入障壁が低かった過去数年と比較すると、10月からはインボイス制度が始まることもありますし、本当に品質の高いドライバーしか残らないと言う面もあるかと思います。

品質の高いドライバーには、より良い条件が提供されるでしょうし、そういうドライバーこそ必要とされる時代になるのかもしれません。社会のニーズに応えられる働き方をしなければなりませんし、参入するドライバーもそのような心構えは求められるでしょう。

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